シティ・マネジメントⅠ
担当者 南 学(ミナミ マナブ)
年度 2019授業コード XM22125401 科目ナンバリング
対象年次 1~3 授業形態 実施形態
時間割 春土3 開講キャンパス 白山 教室 8204教室
単位数 2 主たる使用言語 日本語 実務教員科目 タイプA
授業科目区分
授業回数
受講対象学科 公民連携専攻修士課程
【サブタイトル】

「公民連携」の時代に対応する行財政制度革新の方向

【講義の目的・内容】

【講義の目的・内容】
 成長型社会構造を前提とした行財政のシステムは、成熟型には対応できずに、制度疲労をおこしている。特に、個別の設置法で存在している国(府省庁)の縦割り構造の弊害は顕著である。この状況に対して、自治体は国に先行して、市場化に対応した経営、公民連携の手法を取り入れはじめ、縦割り構造を総合化する方向で行政改革を進めている。介護保険制度、指定管理者制度は、民間事業者への市場開放とともに、行政の役割のプロフェッショナル化、コーディネート型への転換、第三者評価の方向を促進した。この分野では、指定管理者制度において、評価制度の構築によって、機能を重視した公共施設の再編成を促進することができる可能性がある。
 本科目では、地方自治法による地方行財政の理念と仕組みの解説にとどまらず、「新しい公共」の理念を具体化する方向で、行政と市民・民間事業者との役割分担を再定義し、自治体経営の方向と方策を検討する。
 また、行政サービスのコスト分析を行うことで、効率的なサービス提供の手法が検討され、業務委託の拡大に結びつくが、その一方で契約(仕様書作成、事業者選考)・モニタリング等の間接業務が増えるというように、トータルな事業分析や改善に向けての専門的取り組みが必要となる。そして、複数の施設・近隣自治体における業務を広域的に委託することにより、スケールメリットや専門性の確保もできるようにもなる。
また、調達に関しても、従来の入札至上主義から脱皮して、サウンディング調査を先行させながら、公募、優先交渉権者選考、契約というような「随意契約」的な手法を軸に、PPP(公民連携手法)の適用も多く見られるようになってきた。
 行政経営から公共経営への転換によって、公民の枠組みにとらわれない、新たな専門的業務、創造的な事業展開の可能性が拡大する時代に相応しい、新しい「地方行財政」の方向を、具体的な事例を検証しながら検討することが本科目の目的となる。

【学修到達目標】

地方自治体の行財政のシステムを、具体的事例をもとに、その本質的部分を理解するとともに、公民連携の方向・手法を実践的に検討する基盤づくりを目標にする。

【講義スケジュール】

第1回 ガイダンス:行財政運営の現実(国、県、市の組織と機能の違いなど)
第2回 地方自治とは何か(日米の比較。社会構造の成熟化と地方自治の実質化の過程)
第3回 地方行財政の基本的システムとその変化(国との関係、議会・市民との関係)
第4回 地方財政の危機、その過程と本質、改革の方向
第5回 地方財政の自立と交付税、補助金、起債との関連
第6回 財務諸表の整備と自治体経営
第7回 公共施設とインフラの老朽化による地方財政の「時限爆弾」
第8回 指定管理者制度の活用による公民連携事業の展開可能性
第9回 行政サービスのコスト分析(ABC手法を中心に)
第10回 行政サービスのアウトソーシングの手法とその活用方法
第11回 公民連携概念と事業改革提案制度
第12回 公会計改革の特徴と活用(公共施設マネジメントとの連携)
第13回 財政運営の新しい方向(資金調達、包括予算配分方式など)
第14回 予算を使わない事業展開(コーディネート型、資産活用型など)
第15回 まとめ

【指導方法】

地方自治法を概観するために、テキストに沿った解説を行うとともに、事例分析と解説を中心にした実践を想定した講義形式。一部には、受講者の関心テーマについての自発的レポートのプレゼンテーションを行い、ディスカッションを取り入れる.

【事前・事後学修】

事前学修 翌週の内容に関してそれぞれの実務や活動から得られる疑問や課題を探す
事後学修 講義の結果から得られるそれぞれの実務や活動に与える影響や効果を考える
時間はおのおの合計30〜60分程度を想定する。社会人大学院生は、実際に実務や活動している時間を利用して考察することを推奨する。

【成績評価の方法・基準】

レポート(70%)と授業への参加(積極的な議論)(30%)を評価する。特に優れているものをS、それに次ぐものをA、平均的なものをB、やや劣ると思われるものをC、それ以下をD(不合格)とする。

【受講要件】

特にない

【テキスト】

『地方自治法の概要(第4次改訂版)』、松本英昭著、学陽書房(2012)
『成功する公共施設マネジメント』、南学編著、学陽書房(2016)
その他、授業で資料を配布

【参考書】

*「変革期の地方自治法」(兼子 仁著:岩波新書)
*講師の著書、論文(プロフィールを参照のこと)

【関連分野・関連科目】

【備考】

【添付ファイル1】
【添付ファイル2】
【添付ファイル3】
【リンク】