【サブタイトル】 |
ノルウェーの画家ムンクとシェアする精神病理と女性像 |
【講義の目的・内容】 |
この講義はノルウェーのアイコニックな画家であり,<叫び><マドンナ>などの独創的な作品で知られるエドヴァルド・ムンクのパソグラフィー研究を中心に展開されます. パソグラフィーは病跡学と訳されており,その始まりは天才と狂気の研究,すなわち精神異常をきたした天才に焦点をあて,異常心理がどのように超人的な創造活動に影響したのかを探求する学問領域でした.しかし“天才”や“狂気”の概念が古典的なものとなった現在,病跡学のトピックスもさまざまな創造活動に対する臨床心理学的理解へと移行しつつあり,創造的な個人の心理だけではなく,個人と社会との関連,歴史や文化との関連を論じるようになってきました. 講義ではムンクの女性をめぐる様々なトラウマ,統合失調症と推測される精神疾患との格闘,そうした心理的問題と創造活動との結びつきを解き明かしていきます.さらに社会文化的背景を現代的な観点から捉えつつ,人間の心に潜む統合失調症に親和性のある精神病理,不気味かつ魅力的な女性像,そして個人の心理と社会現象の関連について理解を深めていきます. |
【学修到達目標】 |
1.統合失調症という病気が,個人の問題であると同時に社会の課題であることを理解する. 2.統合失調症にかかった天才人の人生から,病気と創造性との関連を理解する. 3.人間の深層心理や精神病理と,芸術,文化,社会との関連を理解する. |
【講義スケジュール】 |
第1回 ノルウェーの風土 第2回 ムンク作品の現代的価値―<叫び>と<マドンナ>を中心に 第3回 西洋美術史 第4回 絵画のパソグラフィー,ムンク略伝 第5回 ムンクの原点―生い立ちから画家になる決心まで 第6回 画家ムンクの出発―修行時代とボヘミアン・グループ(自然主義の深化) 第7回 画家ムンクの展開―パリ留学とベルリン時代(象徴主義の発展) 第8回 画家ムンクの成功と精神的危機―ムンクとドイツ,ピストル事件から入院まで 第9回 画家ムンクの精神的回復―入院から退院まで 第10回 画家ムンクの晩年―ノルウェーへの帰還と世界情勢 第11回 病理的絵画の時代,スペイン・インフルエンザと美術界,ナチスの退廃芸術 第12回 ムンクの探求した統合失調症の精神病理 第13回 キリスト教的ミソジニーと魔女狩り,ノルウェー連続テロ,現代の魔女狩りと極右テロ 第14回 ムンクの女性像の様々な位相と深層心理の原始的女性像 第15回 まとめ |
【指導方法】 |
オンラインでのライヴ授業となります. 授業は,パワーポイントのスライドとレジュメを使用しての講義を基本としています. |
【事前・事後学修】 |
授業前には,紹介された美術関連のサイトを中心に予習しておくこと.(60分程度) 授業後には,疑問点や問題点をWeb上の文献などで調べ,解決できないことは次回の授業で質問すること.(90分程度) |
【成績評価の方法・基準】 |
ミニ・レポート(40%),試験(60%) 東洋大学の評価基準に従います. |
【受講要件】 |
特にありません. |
【テキスト】 |
授業でレジュメを配布します. |
【参考書】 |
S.プリドー著,木下哲夫訳 (2007) ムンク伝.みすず書房.\8000+税 その他,授業で随時紹介します. |
【関連分野・関連科目】 |
教養科目全般 |
【備考】 |
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【添付ファイル1】 |
【添付ファイル2】 |
【添付ファイル3】 |
【リンク】 |
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