臨床心理学A
担当者 樫原 潤(カシハラ ジュン)
年度 2020授業コード 2510240001 科目ナンバリング
対象年次 1~4 授業形態 講義 実施形態
時間割 春火6 開講キャンパス 白山 教室 非対面授業(白山の同時双方向型授業)
単位数 2 主たる使用言語 日本語 実務教員科目
授業科目区分
授業回数
受講対象学科
【サブタイトル】

臨床心理学の構造と主要理論を学ぶ

【講義の目的・内容】

臨床心理学は心理的問題の支援を進めるための学問ですが,一口に「心理的問題の支援」といっても様々な切り口のものがあり,基礎心理学とも密接に関連しながら発展を続けています。本講義では,「異常心理学・心理アセスメント・心理療法」や「科学者・実践家モデル」といった枠組みを学び,広範にわたる臨床心理学の全体像を理解していきます。さらに,臨床心理学の4大理論 (精神分析理論・人間性心理学・行動理論・認知理論) について学んだ上で,臨床心理学の理論や実践をさらに精緻化していくための研究法について理解していきます。
本講義で学ぶ臨床心理学の知識は,社会現象を多角的に見るために必要な基礎力となります。こうした基礎力を磨くことで,社会学科 (イブニングコース) のディプロマポリシー2に資することを目指します。

【学修到達目標】

1. 臨床心理学の基本的なモデルを理解し,学問分野の全体像を自分の言葉で説明できる。
2. 臨床心理学の代表的な理論について理解し,自分の言葉で説明できる。
3. 臨床心理学の研究法の概要を理解し,自分の言葉で説明できる。

【講義スケジュール】

[第1回 臨床心理学とは何か,エビデンスにもとづく臨床心理学]
臨床心理学全体の枠組みを学び,講義全体の構成を理解する。また,臨床心理学をめぐる最近の動向として,エビデンス (科学的実証性) が重視されるようになったことを理解する。

[第2回 パーソナリティ理論,臨床の基礎学としての心理学]
個人差の科学であるパーソナリティ心理学について理解し,心理的支援を実践する上でパーソナリティ理論が不可欠であることを理解する。
発達心理学・社会心理学など心理学の他領域を概観し,それらの領域について知ることが心理的援助の実践に不可欠であることを理解する。

[第3回 臨床心理面接]
心理的問題に悩む人の支援が実際にどのように進行するのかを学び,臨床心理面接の全体像を理解する。

[第4回 臨床心理学的アセスメント]
心理的問題を様々な角度から把握し,それらの情報を統合するという,臨床心理アセスメントの全体像を理解する。

[第5回 精神分析理論/精神分析療法,小テスト (1)]
無意識の影響力を重視する精神分析理論を学び,精神分析療法の概要を理解する。授業時間外に,前回までの学習内容を復習するための小テストに,ToyoNet-ACE上で回答する。

[第6回 人間性心理学パラダイム/クライエント中心療法]
自己実現の力を重視する人間性心理学パラダイムを学び,そこから発展したクライエント中心療法の概要を理解する。

[第7回 学習理論/行動療法]
人間が特定の行動様式をどのように身に付けるのかを説明した学習理論を学び,そこから発展した行動療法の概要を理解する。

[第8回 認知理論/認知療法・認知行動療法]
認知 (物の捉え方) の影響力を重視した認知理論について学び,そこから発展した認知療法・認知行動療法の概要を理解する。

[第9回 その他のさまざまなパラダイム]
第5~8回で学んだもののほかに,様々なパラダイムが発展してきたことを理解する。

[第10回 臨床心理学の現場,小テスト (2)]
心理士が実際に働く現場として,医療,教育,産業・労働など様々な領域があることを理解する。授業時間外に,第5~9回の学習内容を復習するための小テストに,ToyoNet-ACE上で回答する。

[第11回 臨床心理学研究法]
心理的援助をより良いものにしていくために研究が重要であることを学び,臨床心理学研究法の大枠を理解する。

[第12回 臨床心理学研究の実際]
心理療法の臨床試験や,健常群を対象としたアナログ研究など,臨床心理学研究の実例について学んでいく。

[第13回 心理士の専門性と倫理,講義のまとめ,学期末レポート]
心理的援助や研究を行う上で,心理士がどのような専門性や倫理を身に付けておくべきかを学ぶ。本講義全13回のまとめを行う。
授業時間外に,本講義全体の内容を踏まえたレポートをWordで作成し,ToyoNet-ACEのレポート機能を用いて提出する。

※15回の授業分に相当する学習効果を確保するため,上記の通り,2回の小テスト (所要時間目安:各45分) と学期末レポート (所要時間目安:90分) を課します。

【指導方法】

1. すべての授業は,教員による講義と,授業内容に関連した臨床事例や研究論文の黙読,毎回の感想レポート提出,感想レポートに対するフィードバックにより構成されます。これにより,ただ単に受動的に授業を聞くだけではなく,具体例に則して理解を深め,学習内容を自分の言葉で説明できるように促します。
2. 授業内容の理解度を確認するため,2回の小テストと学期末レポートを実施します。
3. 小テスト・学期末レポートは,ToyoNet-ACEを用いて実施します。
4. 各授業は,「Webex Meetingsを通じた遠隔授業 (50~60分)」と「ToyoNet-ACEを通じた課題配信学習+教員からのフィードバック」で構成されます。授業資料は,ToyoNet-ACEを通じてPDF形式やWord形式で配布しますので,これらに対応した端末及びインターネット環境が必要です。 また,質疑応答は ToyoNet-ACE上で行いますが,その際は実名で投稿してください。また,Webex Meetings を使う際は,リアルタイムでの意見交換の機会を設けます。

【事前・事後学修】

[事前学修]
授業前に提示される配布資料を読み,理解できない箇所がないか確認しておいてください。理解できない箇所については,参考書を読むか,インターネットで検索するなどして事前に調べておいてください。(30分)
[事後学修]
受講し終わった回の配布資料を再度読み,理解があやふやな箇所については自分で調べて復習してください。(60分)

【成績評価の方法・基準】

出席状況 (13%),各授業回の感想レポートの提出状況 (13%),小テスト2回 (40%),学期末レポート (34%) から総合的に評価します。
出席状況は,ToyoNet-ACE内の「レスポン」という機能を使って確認します (授業内で説明します)。

【受講要件】

特に定めません。

【テキスト】

授業内で資料を配布します。

【参考書】

丹野 義彦・石垣 琢麿・毛利 伊吹・佐々木 淳・杉山 明子(著) (2015). 『臨床心理学 (New Liberal Arts Selection)』 有斐閣 (4,290円)
鹿取 廣人・杉本 敏夫・鳥居 修晃・河内 十郎 (編) (2020). 『心理学 第5版補訂版』 東京大学出版会 (2,640円)
下山 晴彦 (編) (2013). 『よくわかる臨床心理学[改訂新版] (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)』 ミネルヴァ書房 (3,300円)                   

【関連分野・関連科目】

臨床心理学B

【備考】

初回授業で,以下のシラバス課題を実施します。事前に答えを考えた上で初回授業に臨んでください。
1. 【講義の目的・内容】を踏まえて,あなたがこの講義に特に期待することを書いてください。
2. 【学修到達目標】と【講義スケジュール】を確認し,あなたがこの授業を通して特に身につけたい力を書いてください。
3. 【成績評価の方法・基準】を確認し,この講義でよりよい学修成果を得るためにしなければならないと思うことを書いてください。
4. 授業に関する質問や,教員への要望・メッセージがあれば書いてください。ない場合には,「特になし」と書いてください。
5. 「この厳しい状況下でも学ぶことの理由」を,一度じっくり考えてみてください。特に正解はないので,自分なりの考えを書いてください。

【添付ファイル1】
【添付ファイル2】
【添付ファイル3】
【リンク】