【サブタイトル】 |
さまざまな心理的障害にどう介入するのかを学ぶ |
【講義の目的・内容】 |
臨床心理学は心理的問題の支援を進めるための学問ですが,一口に「心理的問題」といっても様々な種類のものがあり,日常生活に支障をきたす心理的障害に発展するケースも多いです。本講義では,うつ・不安症といった回復可能なものから,パーソナリティ障害・発達障害などその人固有の特性としてうまくつきあっていく必要のあるものまで,様々な心理的障害の特徴を理解していきます。さらに,それぞれの心理的障害にどのように介入すれば良いのか,非専門家ができる支援とは何か,事例に則して具体的に考えていきます。
本講義で学ぶ臨床心理学の知識やスキルは,社会現象を多角的に見ることや,心理的障害という社会問題の支援に自分なりにコミットすることに必要な基礎力となります。こうした基礎力を磨くことで,社会学科 (イブニングコース) のディプロマポリシー2, 3に資することを目指します。 |
【学修到達目標】 |
1. 様々な心理的障害の特徴を理解し,障害間の異同を自分の言葉で説明できる。 2. 心理的障害のそれぞれに対してどのような介入が有効であるかを理解し,自分の言葉で説明できる。 3. 臨床心理学の非専門家でもできる心理的障害の支援とはどのようなものか,自分の考えを説明できる。 |
【講義スケジュール】 |
[第1回 (9月22日) 心理的障害の見取り図] 心理的障害にどのような種類のものがあるのか,またそれらをどのように分類できるのか,異常心理学の枠組みや精神疾患の診断基準を踏まえて理解する。
[第2回 (9月29日) うつの理解と支援] 落ち込む,やる気を失う,眠れなくなるといった症状が長く続く「うつ」のメカニズムを理解し,その援助法を学ぶ。
[第3回 (10月6日) 躁の理解と支援] 度が過ぎた活動性や万能感を伴う「躁」のメカニズムを理解し,「躁」と「うつ」を繰り返す双極性障害に対する援助法を学ぶ。
[第4回 (10月13日) 社交不安症の理解と支援] 対人的な場面での強い不安や恐怖を伴う社交不安症のメカニズムを理解し,社交不安症に対する援助法を学ぶ。
[第5回 (10月20日) パニック症の理解と支援] 過呼吸など強い身体症状を伴うパニック症のメカニズムを理解し,パニック症に対する援助法を学ぶ。
[第6回 (10月27日) 強迫症の理解と支援,小テスト (1)] 頭ではわかっていても必要以上に特定の行動を繰り返す強迫症のメカニズムを理解し,強迫症に対する援助法を学ぶ。授業時間外に,前回までの学習内容を復習するための小テストに,ToyoNet-ACE上で回答する。
[第7回 (11月10日) 心的外傷後ストレス障害の理解と支援] 事故や自然災害などの強い脅威にさらされた後の心身の反応が長く続く,心的外傷後ストレス障害のメカニズムを理解し,心的外傷後ストレス障害に対する援助法を学ぶ。
[第8回 (11月17日) 統合失調症の理解と支援] 幻覚や妄想などの陽性症状を伴う統合失調症のメカニズムを理解し,統合失調症に対する援助法を学ぶ。
[第9回 (11月24日) パーソナリティ障害の理解と支援] 極端な性格上の特徴からもたらされるパーソナリティ障害のメカニズムを理解し,パーソナリティ障害に対する援助法を学ぶ。
[第10回 (12月1日) 身体の不調に関連する心理的障害の理解と支援] 摂食障害や心身症など,生理的・身体的異常が目立つ心理的障害のメカニズムを理解し,それらの障害に対する援助法を学ぶ。
[第11回 (12月8日) 発達に関する障害の理解と支援,小テスト (2)] 発達早期から認められる脳機能の障害である,発達障害のメカニズムを理解し,発達障害に対する援助法を学ぶ。授業時間外に,第6~10回の学習内容を復習するための小テストに,ToyoNet-ACE上で回答する。
[第12回 (12月15日) 認知症の理解と支援] 高齢者を中心に生じる後天的な脳機能障害である,認知症のメカニズムを理解し,認知症に対する援助法を学ぶ。
[第13回 (12月22日) 依存・嗜癖の理解と支援] アルコールやドラッグへの依存など,依存・嗜癖の心理的障害のメカニズムを理解し,それらの心理的障害に対する援助法を学ぶ。
[第14回 (1月5日) 非専門家にできる心理的障害の支援] 各種の心理的障害に対して,非専門家がどのような形で支援を実施できるか,メンタルヘルス・ファーストエイドの枠組みに基づいて学ぶ。
[第15回 (1月12日) 本講義のまとめ,期末テスト] 本講義全体の振り返りを行う。授業時間外に,本講義全体の内容を復習するための期末テストに,ToyoNet-ACE上で回答する。
※上記の通り,2回の小テスト (所要時間目安:各45分) と期末テスト (所要時間目安:90分) を課します。授業負担が重くなりすぎないよう,簡潔に終わる授業回を設けるなど,適宜調整します。 |
【指導方法】 |
1. すべての授業は,教員による講義と,授業内容に関連した臨床事例や研究論文の黙読,毎回の感想レポート提出,感想レポートに対するフィードバックにより構成されます。これにより,ただ単に受動的に授業を聞くだけではなく,具体例に則して理解を深め,学習内容を自分の言葉で説明できるように促します。 2. 授業内容の理解度を確認するため,2回の小テストと期末テストを実施します。 3. 小テスト・期末テストは,ToyoNet-ACEを用いて実施します。 4. 各授業は,「Webex Meetingsを通じた遠隔授業 (50~60分)」と「ToyoNet-ACEを通じた課題配信学習+教員からのフィードバック」で構成されます。Webex Meetings の遠隔授業では,リアルタイムでの意見交換の機会を設けます。授業資料は,ToyoNet-ACEを通じてPDF形式やWord形式で配布しますので,これらに対応した端末及びインターネット環境が必要です。 また,授業時間外の質疑応答は, ToyoNet-ACEの掲示板上で行うこととします。 |
【事前・事後学修】 |
[事前学修] 授業前に提示される配布資料を読み,理解できない箇所がないか確認しておいてください。理解できない箇所については,参考書を読むか,インターネットで検索するなどして事前に調べておいてください。(30分) [事後学修] 受講し終わった回の配布資料を再度読み,理解があやふやな箇所については自分で調べて復習してください。(60分) |
【成績評価の方法・基準】 |
出席状況 (15%),各授業回の課題の提出状況 (15%),小テスト2回 (40%),期末テスト (30%) から総合的に評価します。 出席状況は,ToyoNet-ACE内の「レスポン」という機能を使って確認します (授業内で説明します)。 |
【受講要件】 |
特に定めません。 |
【テキスト】 |
授業内で資料を配布します。 |
【参考書】 |
丹野 義彦・石垣 琢麿・毛利 伊吹・佐々木 淳・杉山 明子(著) (2015). 『臨床心理学 (New Liberal Arts Selection)』 有斐閣 (4,290円) 鹿取 廣人・杉本 敏夫・鳥居 修晃・河内 十郎 (編) (2020). 『心理学 第5版補訂版』 東京大学出版会 (2,640円) 下山 晴彦 (編) (2013). 『よくわかる臨床心理学[改訂新版] (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)』 ミネルヴァ書房 (3,300円) |
【関連分野・関連科目】 |
臨床心理学A |
【備考】 |
初回授業で,以下のシラバス課題を実施します。事前に答えを考えた上で初回授業に臨んでください。 1. 【講義の目的・内容】を踏まえて,あなたがこの講義に特に期待することを書いてください。 2. 【学修到達目標】と【講義スケジュール】を確認し,あなたがこの授業を通して特に身につけたい力を書いてください。 3. 【成績評価の方法・基準】を確認し,この講義でよりよい学修成果を得るためにしなければならないと思うことを書いてください。 4. 授業に関する質問や,教員への要望・メッセージがあれば書いてください。ない場合には,「特になし」と書いてください。 |
【添付ファイル1】 |
【添付ファイル2】 |
【添付ファイル3】 |
【リンク】 |
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