統計情報処理および実習Ⅰ9
担当者 樫原 潤(カシハラ ジュン)
年度 2020授業コード 1500209009 科目ナンバリング
対象年次 1~4 授業形態 実習 実施形態
時間割 春土1 開講キャンパス 白山 教室 非対面授業(白山の同時双方向型授業)
単位数 2 主たる使用言語 日本語 実務教員科目
授業科目区分
授業回数
受講対象学科
【サブタイトル】

統計データの読解と分析の力を磨く

【講義の目的・内容】

本講義では,統計データを正しく読み解き,適切に分析するための基本的知識・スキルの習得を目的とします。そのために,「平均」「標準偏差」から「帰無仮説検定」「相関」「回帰」に至るまで,統計学の基礎的な概念を具体的なデータに基づいて理解していきます。また,ExcelとSPSSを用い,データを整理して分析し,分析結果をわかりやすく提示するための実習を行います。
本講義で学ぶ基本的知識・スキルは,今後の講義で専門分野の先行研究を理解し,実験や調査を実践していく上での必要不可欠な基礎力となります。これらの基礎力を磨くことで,社会学部各学科のディプロマポリシーに資することを目指します。
なお,本講義では,帰無仮説検定以外の統計分析アプローチ (ベイズ統計など) や,Excel, SPSS以外の統計分析ソフトウェア (Rなど) の概要を補助的に学んでいきます。このことで,本講義内での学修内容を超えて,統計データを扱う力を自力で磨いていくためのきっかけを得ていくことを目指します。

【学修到達目標】

1. 記述統計量と帰無仮説検定の基本的概念を理解し,説明できる。
2. ExcelとSPSSの基本的操作を習得し,自力で分析を実施できる。
3. 分析結果をわかりやすい形式で提示できる。

【講義スケジュール】

[第1回 (4月29日) ガイダンス・キャンパスの情報環境 / 情報倫理とセキュリティ]
大学内でのPC利用方法,使用できるソフトウェア,ToyoNet-ACEの利用方法などについて理解する。
パスワード管理,不正メールや不正サイトの見分け方,メールのマナー,引用と剽窃の違いなどについて理解する。

[第2回 (5月13日) 記述統計量の理解と算出 (1)]
代表値 (平均値,中央値,最頻値など) を理解し,Excelで算出する。

[第3回 (5月20日) 記述統計量の理解と算出 (2)]
散布度 (平均偏差,分散,標準偏差など) を理解し,Excelで算出する。

[第4回 (5月27日) 尺度水準の理解,Excelによるデータ入力と表の作成]
尺度水準 (名義尺度,間隔尺度など) を理解し,Excelによるデータ入力と表の作成を実践する。

[第5回 (6月3日) 共分散・相関係数・連関係数の理解と算出]
2変数間の関連性を検討するための指標として,共分散・相関係数・連関係数を理解する。また,Excelでそれらの指標を算出する。

[第6回 (6月10日) Excelによるグラフ作成 (1),小テスト (1)]
Excelによりグラフを作成し,見栄えを整える方法を習得する。授業時間外に,第5回までの学習内容を復習するための小テストに,ToyoNet-ACE上で回答する。

[第7回 (6月17日) サンプルと母集団の理解,Excelによるグラフ作成 (2)]
帰無仮説検定の前提として,「サンプルと母集団」の概念を理解し,標準誤差・標本誤差などの統計指標を理解する。Excelで作成したグラフに,標本誤差などの情報を追加する。

[第8回 (6月24日) 帰無仮説検定の概念的理解,SPSSによるデータの読み込み]
幅広く用いられている統計データ分析である,帰無仮説検定について,その基本的発想を理解する。SPSS実習の導入として,Excelで作成されたデータの読み込み方を学ぶ。

[第9回 (7月1日) SPSSによる質的変数の分析: クロス集計,カイ2乗検定]
質的変数同士のクロス集計やカイ2乗検定の考え方を理解し,SPSSでの分析の実施方法を学ぶ。

[第10回 (7月8日) SPSSによる量的変数の分析 (1): 散布図の作成,相関係数と回帰係数の算出]
量的変数同士の関連について理解を深めるため,SPSSでの散布図の作成方法を学ぶ。相関係数と回帰係数の違いについて理解し,SPSSでそれらの指標を算出する方法を学ぶ。

[第11回 (7月15日) SPSSによる量的変数の分析 (2):平均値差の検討,t検定の実施]
実験効果の比較,性差の検討など,平均値差の検討が必要となる場面が多くあることを理解する。t検定の考え方を理解し,SPSSで分析を実施する方法を学ぶ。

[第12回 (7月22日) 効果量の理解と算出,小テスト (2)]
帰無仮説検定を超えたデータ解釈を可能とするために,効果量を理解し,専用のExcelシートで算出する。授業時間外に,第6~11回の学習内容を復習するための小テストに,ToyoNet-ACE上で回答する。

[第13回 (7月29日) SPSSによる分析結果の整理,講義のまとめ,学期末テスト]
SPSSの分析結果を,ExcelとWordでどのようにまとめるかを理解する。本講義13回のまとめを行う。
授業時間外に,本講義の内容を踏まえた課題をExcelで実施し,ToyoNet-ACEのレポート機能を用いて提出する。

※15回の授業分に相当する学習効果を確保するため,上記の通り,2回の小テスト (所要時間目安:各45分) と学期末テスト (所要時間目安:90分) を課します。

【指導方法】

1. すべての授業は,各授業回の課題に対するフィードバック,教員による講義と,PC・スマートフォンを用いた実習を組み合わせて行います。これにより,ただ単にソフトウェアを動かすだけではなく,「なぜ,どの分析を,どの場面で実施すべきか」という全体像の理解を促します。
2. 各授業回の課題は,自分のPC・スマートフォンで3日以内に実施して,ToyoNet-ACEから提出してください。Excelの入ったPC・スマートフォンを持っていない人は,東洋大学のアカウントを通じてOffice 365をインストールしておいてください。
3. 授業内容の理解度を確認するため,2回の小テストと特別課題を実施します。
4. 各授業回の課題・小テスト・特別課題は,ToyoNet-ACEを用いて実施します。
5. 各授業は,「Webex Meetingsを通じた遠隔授業 (50~60分)」と「ToyoNet-ACEを通じた課題配信学習+教員からのフィードバック」で構成されます。授業資料は,ToyoNet-ACEを通じてPDF形式やWord形式で配布しますので,これらに対応した端末及びインターネット環境が必要です。 また,質疑応答は ToyoNet-ACE上で行いますが,その際は実名で投稿してください。また,Webex Meetings を使う際は,リアルタイムでの意見交換の機会を設けます。
6. 第8~13回で紹介するSPSSは,学内端末でしか利用できないソフトウェアです。そのため,第8~13回では,SPSSでの分析実施法を説明するスライド資料を提示し,操作方法を解説したYouTube動画を紹介するとともに,Excelを用いて同じ分析を行うための実習を実施します。

【事前・事後学修】

[事前学修]
授業前に提示される配布資料を読み,理解できない箇所がないか確認しておいてください。理解できない箇所については,参考書を読むか,インターネットで検索するなどして事前に調べておいてください。(30分)
なお,PCの使用経験が少ない人は,Webサイト (例えば,https://manabi-gakushu.benesse.ne.jp/gakushu/typing/nihongonyuryoku.html) でタイピングの練習をしてから授業に臨んでください。(10分)
[事後学修]
授業内課題が終わらなかった場合は,次の授業までに完成させて提出しておいてください。また,受講し終わった回の配布資料を再度読み,理解があやふやな箇所については自分で調べて復習してください。(60分)

【成績評価の方法・基準】

出席状況 (13%),各授業回の課題の提出状況 (13%),小テスト2回 (40%),学期末テスト (34%) から総合的に評価します。
出席状況は,ToyoNet-ACE内の「レスポン」という機能を使って確認します (授業内で説明します)。

【受講要件】

特に定めません。

【テキスト】

授業内で資料を配布します。

【参考書】

南風原 朝和 (著) (2002). 『心理統計学の基礎: 統合的理解のために』 有斐閣 (2,420円)
竹原 卓真 (著) (2013). 『増補改訂 SPSSのススメ1: 2要因の分散分析をすべてカバー』 北大路書房 (3,520円)
村井 潤一郎 (著) (2013). 『はじめてのR: ごく初歩の操作から統計解析の導入まで』 北大路書房 (1,760円)

【関連分野・関連科目】

【備考】

初回授業で,以下のシラバス課題を実施します。事前に答えを考えた上で初回授業に臨んでください。
1. 【講義の目的・内容】を踏まえて,あなたがこの講義に特に期待することを書いてください。
2. 【学修到達目標】と【講義スケジュール】を確認し,あなたがこの授業を通して特に身につけたい力を書いてください。
3. 【成績評価の方法・基準】を確認し,この講義でよりよい学修成果を得るためにしなければならないと思うことを書いてください。
4. 授業に関する質問や,教員への要望・メッセージがあれば書いてください。ない場合には,「特になし」と書いてください。
5. 「この厳しい状況下でも学ぶことの理由」を,一度じっくり考えてみてください。特に正解はないので,自分なりの考えを書いてください。

【添付ファイル1】
【添付ファイル2】
【添付ファイル3】
【リンク】