【サブタイトル】 |
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【講義の目的・内容】 |
女性学は、社会に、構造的な、性別による分け隔てや偏りとそれによる差別が存在すると認識し、それらを撤廃して性別について公正な社会を実現することをめざす立場から、性差別の存在のしかたや再生産のメカニズムを明らかにし、撤廃・変革の方途を見出そうとする学問である。性別による分け隔て・偏り・差別は、社会のあらゆる局面を貫いて存在し、それは学問の世界も例外ではない。女性学は、既存の学問の男性偏向、すなわち圧倒的に男性によって担われ、男性の社会的経験に基づいて理論化・体系化されてきたことを批判し、その歪みを修正して方法論や概念・理論や解釈を再構築しようとする。同じく性差別の存在のしかたや再生産のメカニズムを明らかにし、撤廃・変革の方途を見出そうとする学問にジェンダー研究があるが、女性学とジェンダー研究の違いは、当事者性の位置づけにあると言える。女性学は、そうした性差別の解明、撤廃・変革の方途の見出しを、社会的に女性と位置づけられることによって生じる経験からの理論化によって行おうとする。あくまで女性学視点に立ち、かつ高い透明性を備え、学術的価値を認められる研究を産出していくことは実は容易でない。なぜなら女性学視点は、既存の(確立された)学術研究のあり方の相対化・批判を含むからである。本演習は、このような認識に基づき、女性学の視点と女性学およびジェンダー研究の知識を各人の研究遂行に活かすことを目的とする。真摯な取り組みを期待する。 |
【学修到達目標】 |
①女性学とジェンダー研究のアプローチの違いを説明できる、 ②履修を通じて獲得した戦後日本社会のジェンダー構造、それが生んできた諸現象、ジェンダー構造を変革して目指されている社会像とそこに向かう方途等についての知識を自身の研究に活かすことができること、を学習到達目標とする。 |
【講義スケジュール】 |
第1回 科目ガイダンス、講師の自己紹介、女性学とジェンダー研究 第2回 日本の第1波フェミニズム、第2波フェミニズム(含ウーマン・リブ)、女性学/ジェンダー研究発展史 第3回 戦後日本社会のジェンダー構造の全体図 第4回 根本問題―製造装置としての性別分業 第5回 性別分業の帰結―一次生産物としての社会資源の男性偏在 第6回 社会資源の男性偏在の帰結―二次生産物としての女性問題:女性に対する暴力を例に 第7回 ドメスティック・バイオレンス―どういう問題か、調査結果にみる被害 第8回 子ども虐待―どういう問題か、調査結果にみる被害と加害 第9回 家族内暴力の被害者の保護、回復と問題解決の支援、加害者対応 第10回 被虐待経験を生き延びる―「れんげ草の庭」に学ぶ 第11回 ハラスメント 第12回 日本社会のジェンダー構造の歴史的土壌ー旧民法「家」制度と残る慣習 第13回 ケアとジェンダー 第14回 ケアを役割として担う人の陥穽 第15回 性別について公正な社会の像 |
【指導方法】 |
主に教員の講義発題とそれに基づく討論による。 |
【事前・事後学修】 |
第1回 授業時に配付する、女性学とジェンダー研究に関する資料の通読 第2回,第12回 授業時に配布する、日本の第1波フェミニズムに関する文献の通読 第3回~第5回 『令和元年度版男女共同参画白書』の現状部分(添付のPDFファイル)の通読 第6回~第10回 『虐待こえて生きる 負の連鎖を断ち切る力』第1章~第4章の通読 第11回、第13回~第15回『令和元年度版男女共同参画白書』の施策部分の通読 |
【成績評価の方法・基準】 |
取り組みの積極性の評価による。 取り組みの積極性は、授業時への発言の積極性、考察の深さによる。
S:取組状況がとくに優れている、A:取組状況が優れている、B:取組状況が平均的である、C:取組状況に問題がある |
【受講要件】 |
女性学・ジェンダー研究分野に課題認識をもつことができ、自身の修士論文に生かそうとする意思があること |
【テキスト】 |
授業はプリントによる。 ・第10回に使用 内田伸子・見上まり子:虐待をこえて生きる 負の連鎖を断ち切る力.新曜社、2010 1900円+税 |
【参考書】 |
内閣府男女共同参画局:令和元年度男女共同参画白書概要版(添付のPDFファイル) |
【関連分野・関連科目】 |
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【備考】 |
自身の学究、個人・社会人としての生き方と重ね合わせた、真摯な取組を求めたい |
【添付ファイル1】 |
【添付ファイル2】 |
男女共同参画白書2019【概要版】.pdf
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【添付ファイル3】 |
【リンク】 |
内閣府男女共同参画局 http://www.gender.go.jp/
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