地域分析
担当者 井上 武史(イノウエ タケシ)
年度 2021授業コード XM22127901 科目ナンバリング
対象年次 1~3 授業形態 講義 単位数 2
時間割 秋土2 開講キャンパス 白山 教室 8204教室
主たる使用言語 日本語 実務教員科目 タイプA
授業科目区分
授業回数
受講対象学科 経済学研究科公民連携専攻
【サブタイトル】

修士論文・特定課題研究論文作成の基盤となる地域分析

【講義の目的・内容】

 地域の人口減少が大きく注目され、地方創生の必要性が叫ばれている中で、地域の動向を多面的な角度から把握することはきわめて重要であり、地域分析を通じて必要な対策を導くことができる。特に、修士論文で特定の地域を対象とした具体的な政策提言を行うためには、地域分析が重要な基礎になる。
 「地域のことは地域に住む人が一番良く知っている」という認識があるために、わざわざ地域分析を行わなくても政策が導かれるというのは誤解である。客観的な地域分析を通じて見過ごされてきた地域の実態を明らかにすることができ、独自性と有効性の高い政策提言に結びつけることができる。
 本講義では、地域の人口動向や通勤通学、産業構造、空き家、公共施設、財政状況を中心に分析を行うためのデータの紹介や分析手法を習得することを目標とする。
 特に、地方創生を推進する手段として地域経済分析システム(RESAS)が開発され分析が格段に容易になったため、RESASを極力活用した分析を行う。ただし、RESASはデータ加工の自由度が低く、RESASだけでは分析できないデータもあるため、従来のデータ取得法やRESASに無いデータの紹介も併せて行う。
 さらに、分析の際に必要な独自の視点をどう持つかや、よくある誤解に陥らないための方法なども適宜紹介し、機械的な地域分析に終わらずオリジナリティを持たせるためのヒントも適宜提示する。
 講義の後半では受講生が自ら地域分析を行い、修士論文・特定課題研究論文の基礎にするとともに、全員での議論を通じて地域のあり方を考察する。

【学修到達目標】

 地域に関する問題意識に基づいて、分析(人口、産業、財政など)の基本的な方法を身につける。客観的なデータの分析と独自の分析視角を通じて、これまで見えてこなかった地域の姿や課題を明らかにすることができる。

【講義スケジュール】

1 ガイダンス
:政策形成の客観的根拠としての地域分析の意義を把握する
2 人口構造・増減の分析 国勢調査人口の現状や推移を年齢層別に分析し、年齢層別にみた地域の状況を探る
3 転出入の分析 国勢調査の転出入人口の動きから、地域への定住・移住の傾向を探る 
4 従業通学の分析 国勢調査の従業通学の動きから、都市雇用圏の状況を探る
5 就業構造の分析 国勢調査、経済センサスの業種別就業者数等の動きから、地域の産業構造を探る
6 小地域単位の分析  町丁目単位のデータを用いて詳細な分析を行う
7 事例研究① データの多面的な分析と近隣市町村や類似市町村との比較から、地域の人口動向について総合的に把握する
8 その他の統計分析 市町村を対象とした他の重要な統計を把握する
9 地方財政の分析 地方財政状況調査や公共施設状況調査、地方財政関係資料を用いて自治体財政の健全性を探る 
10 地図情報による分析 GISソフトを用いた視覚的な分析と表現を行う
11 事例研究② 多面的なデータ分析と近隣市町村や類似市町村との比較から、地域の全体像を把握する
12~14 履修者による分析の発表
15 講評、まとめ
※地域経済分析システムRESASの開発に伴い、分析が格段に容易になった。そこで、極力RESASを用いた分析を行う。ただし、RESASが使えない場合やより深い分析を行うために統計データを直接用いた分析方法も簡単に紹介する。
※受講人数に応じてスケジュール調整をする場合がある。

【指導方法】

 第1回~第11回と第15回は講義形式を基本とする。第12回~第14回は履修者に分析結果を発表してもらい、全員で討論する。
 また、第2回~第5回は、RESASを自分で動かす演習を行うので、各人のノートPCの持ち込みが必要である。遠隔利用者は遠隔用PCで利用可能である。

【事前・事後学修】

 事前にmanabaに掲載される資料をよく読み、紹介された分析に関してそれぞれの実務や活動から得られる問題意識を用意しておく(30分)。
 また、講義資料で紹介されている統計をHP等で取得しておく(60分)。
 第12回~第14回では履修者による分析を発表してもらうので、各回の講義後に自ら分析を行うことで事後学習とするとともに、発表への準備としておく。社会人大学院生は、実際に実務や活動している時間を利用して考察することを推奨する(90分)。

【成績評価の方法・基準】

 履修者による分析の発表内容(問題意識と分析の正確性、独創性、今後の展開可能性等を総合的に評価する)による。Sは90点以上のうち履修者の5%以内とする。Aは80点以上、Bは70点以上、Cは60点以上とし、60点未満は不合格とする。

【受講要件】

特にないが、RESASの使い方について関連講座等も受講することが望ましい。

【テキスト】

資料は事前にmanabaに掲載する。

【参考書】

日経ビッグデータ編集部 [ほか] 著 『RESASの教科書』 日経BP社 (2700円+税)
ISBN: 4822236609
まち・ひと・しごと創生本部『地域経済分析システム基本操作マニュアル』(まち・ひと・しごと創生本部HPよりダウンロード)

【関連分野・関連科目】

【備考】

【添付ファイル1】
【添付ファイル2】
【添付ファイル3】
【リンク】

RESASのHP 
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/resas/ 

RESASマニュアルのダウンロードページ 
https://resas.go.jp/manual/#/13/13106