シティ・マネジメントⅤ②
担当者 天神 良久(テンジン ヨシヒサ)
年度 2021授業コード XM22129201 科目ナンバリング
対象年次 1~3 授業形態 講義 単位数 2
時間割 春土3 開講キャンパス 白山 教室 8204教室
主たる使用言語 日本語 実務教員科目 タイプA
授業科目区分
授業回数
受講対象学科
【サブタイトル】

公共施設・インフラマネジメント②工学アプローチ

【講義の目的・内容】

 国や地方公共団体では多くの公共施設(庁舎・校舎等の建築系施設)や、道路・橋梁・上下水道等のインフラ系公共施設等を整備し、行政サービスの提供、生活の基盤整備等に取り組んでいます。しかしながらこれら公共施設等が時間の経過とともに徐々に老朽化し、今後、その安全性と機能性を確保するための維持管理、更新等には膨大な経費が必要になります。長期的な展望においては人口減少による歳入の減少が予測され、厳しい財務状況の中で、これらの課題への対応が求められています。
 国土交通省においては笹子トンネル事故を契機とした社会資本の老朽化対策会議が設置され、総務省においては、平成26年4月に公共施設及びインフラ資産の将来の更新費用の試算を行うべき「公共施設等総合管理計画」を策定するように各都道府県知事・各指定都市市長宛に要請がおこなわれました。具体手的な項目として計画書内には、「公共施設等の維持管理・修繕・更新等に係る中期的な経費の見込みやこれらに充当可能な財源の見込みを試算する」、「施設の統合や廃止の推進方針を策定する」、「数値目標を設定し、今後も計画の進捗状況の評価、計画改定をおこなっていく」等々が試算、分析、評価、計画されて掲載されています。また、今後の施策としては「長寿命化、集約化・複合化、PPP/PFIの活用、新技術の採用」に関して多くの団体において推進方針を計画しています。
 この講義では、建築・土木・維持保全の基礎知識を学びます。特に建物のLCC(Life Cycle Cost:建物の設計・建設・維持運営および解体までの一生涯に必要なコスト)は、建設工事費の3倍~5倍必要なことが分かって来ました。維持運営の仕方で資源・コスト・エネルギーを節約することも可能になり、工学的なアプローチからLCM(Life Cycle Management:建物の一生涯にわたる総合的なマネジメント)に関して各種法令も含み学びます。また、公共インフラ施設に関しては「上下水道、公園・街路樹、橋梁、道路」に関して工学的なアプローチから計画から維持メンテナンスまでを学びます。

【学修到達目標】

(1)建築に係る最新技術動向と関係する各種法律に関して概要を説明できる。
(2)建物長寿命化とLCC(Life Cycle Cost)、LCM(Life Cycle Management)の重要点を説明できる。
(3)エネルギー環境保全のチェックポイントを示すことができる。
(4)公共ファシリティマネジメント戦略の重要性を述べることができる。
(5)建物の維持メンテナンスの具体的な法律、内容と、点検のポイントを体験できる。
(6)インフラ(上下水道、公園・街路樹、橋梁、道路)の計画・維持メンテナンスのVFMのポイントを説明できる。

【講義スケジュール】

第1回 授業案内/建築基礎編(最新の技術、建築用語、建物区分)
→事前学習課題(ビデオによる要点解説+学習資料配布)
第2回 建築に係る法律(建築基準法、都市計画法、バリアフリー法、景観法、消防法等)
→事前学習課題(ビデオによる要点解説+学習資料配布)
第3回 建築技術(省エネルギー、シックハウス防止対策、ライフサイクルカーボンマイナス建築)
第4回 建物維持保全(ビル管理、運営管理、維持保全とデータベース)
第5回 建物維持保全に係る各種法規則(各種法令・条例の概要、主な改定動向)
第6回 建物長寿命化とLCC(Life Cycle Cost)、事後保全と予防保全(事例説明、点検マニュアル紹介)
第7回 建物評価、公共ROA(Retur On Assets)、LCM(Life Cycle Management)
第8回 建物の日常点検手法、建築/設備点検チェックリスト、建物点検の実習。
第9回 公共建物の長寿命化を施策した事例紹介
第10回 公共ファシリティマネジメント戦略(公共施設等総合管理計画結果分析)、施設の再配置計画
第11回 上下水道計画と維持メンテナンス
第12回 公園・街路樹計画と維持メンテナンス
第13回 橋梁計画と維持メンテナンス
第14回 道路計画と維持メンテナンス
第15回 維持保全総括/ファシリティマネジメント、アセットマネジメント/レポート:課題説明

【指導方法】

 この授業は講義形式で行います。授業で使用する資料は授業の前にToyoNet-ACEで配信します。授業で使用する資料と授業の前後に取り組む課題(詳細は【事前・事後学習】を参照)をToyoNet-ACEで配信します。
 授業計画は公共建築物(第1回~10回)、公共インフラ施設(第11回~14回)、まとめ(第15回)で構成されています。
 公共インフラ施設(上下水道、公園・街路樹、橋梁、道路)は、内容ごとに専門講師を招いて、工学的視点から分かりやすい内容に置き換えて学習できるようにします。

【事前・事後学修】

 事前学習では、ToyoNet-ACEで配信されているハンドアウトを確認し、ワークシートに取り組んでおいてください。授業で取り上げる内容について用語を調べたり、参考で掲載しているURLの確認も行ってください、取組時間の目安は60分程度です。事後学習では、ToyoNet-ACEで配信される参考資料を確認し、発展学習に取り組んでください。取組時間の目安は60分程度です。

【成績評価の方法・基準】

成績評価は、レポート内容で行います。東洋大学の成績評価基準に準拠します。
《レポートについて》
(1~30点)
1~2の授業を選定して、授業の概要を記述できる。
(1~30点)
公共ファシリティマネジメント戦略に関して、授業で学んだ各種工学的内容を理解して、自らの意見を論理的に述べることができる。
(1~40点)
授業の中からテーマを設定して、維持管理の視点から効率的な管理(VFMの視点を重視)に関して自らの意見を論理的に述べることができる。

【受講要件】

特に無し。

【テキスト】

ToyoNet-ACEで配信する資料を使います。事前に入手して授業に持参してください。

【参考書】

発行:クレヴィス
・よくわかる!公共建物の長寿命化 ~先進事例から学ぶ~ vol.1(天神良久 編著)
・よくわかる!公共建物の長寿命化 ~先進事例から学ぶ~ vol.2(天神良久 編著)
発行:公益社団法人 日本ファシリティメネジメント協会
・FMで活用するICTシステム(天神良久 編集・共著)
発行:学陽書房
成功する公共施設マネジメント(南学 編著)

【関連分野・関連科目】

【備考】

【添付ファイル1】
【添付ファイル2】
【添付ファイル3】
【リンク】