【サブタイトル】 |
教育・教養コンテンツ制作を通して身につけるメディアリテラシー |
【講義の目的・内容】 |
本授業では、意図した内容をいかにして伝えるか、情報発信を行う上で必要となる普遍的なリテラシーを獲得していく。映像などのコンテンツ制作環境は急激に変化しており、スマホでも高画質な映像を撮影できる。共有サイトに投稿すれば、世界中に配信が可能だ。映像制作は一部のプロ集団だけが行うものではなくなり、プロからアマチュアまで多くの人が情報発信できる時代となった。見ていて勉強になると思うものがあれば、エンタメとしては面白いけれど何も学べず虚しく感じる作品もある。硬派なドキュメンタリーがあるかと思えば、誰もが下らないと思うことについて深く考えさせる作品もある。この状況は何を示唆しているのか?いかに送り手・受け手ともに意味の見いだせるコンテンツが求められる時代となったことではないだろうか。クリエイティブエコノミーなる市場も展開し、バズるコンテンツ、動画マーケティングなる言葉も出てきている。ただ必ずしもバズればいいというわけではないのは、テレビ番組制作者が視聴率稼ぎに躍起になることへの批判があることからも理解できる。動画マーケティングも怪しい情報商材のようなものかもしれない。バズるろうがバズらないだろうが、何をいいコンテンツとするのか。
具体的にまずは基本的な映像制作技術、考え方、基本知識を身に着け、並行して様々な表現方法を作品を分析する中で学習していくことを目指したい。経験や知識の差がバラバラのため難しいが、そこを目指す。その上で、意図した内容をいかにして伝えるのか、企画書段階で考える。企画書なしで制作することが当たり前になってきているが、どういうコンテンツにするのか検討し、他人に共有する際に企画を立てることは重要である。その練習をする。同時にデザインや映像論などの理論的なことも学習していく。最終的に、映像、ウェブコンテンツなど多様なかたちの情報を検索・分析・評価し、その上で企画・制作・公表するために必要な知識と技能を習得する (本学科ディプロマ・ポリシー)ための基礎的学習能力、思考能力を習得する。特に映像メディア制作Aでは、基本の「基」を学ぶ。本授業では、担当教員による講義及び個別指導、受講者の主体的な学習活動を組み合わせて進める。担当教員が過去に関わった制作実践経験も共有しながら、グループ活動など様々なを制作実習と併せて行う。 |
【学修到達目標】 |
全体の学修到達目標
メディア・コンテンツを企画・制作・公表するために必要な知識と技能を習得するための、思考能力および学習スキルを身につける。その上で、これらの基礎知識と技能を応用し、メディア産業やコンテンツ産業、ICT産業、あるいは企業、政府、教育機関の広報・情報部門等で活かすための実践力を身につけるために必要な学習能力、思考能力を向上させることができるような基本的学習態度を身につけること、そこを最低限の目標とする。
具体的には、1.必要な素材を収集することができ、また、その素材を評価・吟味することができるようになる
2. 視覚メディアの意味を自分なりに解釈し分析することができ、それを視覚メディアの制作に効果的に応用することができる
3.目的にそったメディア・コンテンツをデザイン・制作し、情報発信するための基本技術を身につけるために必要な学習能力と思考能力を向上させる。4. 情報発信についての制作を学習する過程、教室における教員や学生との協働作業を進める過程で、最低限の対話能力を身につける
5.自己満足作品にならないようなコンテンツを制作するための基本的思考能力を身につけ、作品の意図などが説明、効果的かつ時代に合わせたコンテンツの共有方法を身につけていくための基礎学習能力を向上させる。 |
【講義スケジュール】 |
進捗状況や受講者の態度等に合わせて、以下の講義スケジュール、内容を変更する場合がある。
4限目
1. オリエンテーション/授業のすすめ方・メディアリテラシーとは何か
2. 視覚デザイン(1) : 音声の有無により映像の意味がどう異なってくるのか
3. 撮影技能練習: 撮影の練習、三脚、ライト、カメラの持ち方、ショット、カット 4. 撮影技能練習: インタビュー・ヘッドショット撮影のセッティング練習
5.編集技能練習: アドビの編集アプリの基本操作演習および情報発信に使用できるアプリの紹介、ポートフォリオサイトの作成練習など(サンプル動画を使用し基本的な操作方法になれる。先生は、パソコン操作が苦手な人を中心に個別サポートにまわる)
6.〜9 撮影実習、何をどう撮るか考えた上でスケジュールを各自たてて撮影
10〜14 編集実習、撮影した素材をどう料理するか、編集アプリを使用しつつ
15. まとめ、作品鑑賞会
5限目
1. 視覚デザイン、構図/構成の重要性・ 2. 視覚デザイン、企画書の書き方、絵コンテ、文字コンテについて、撮影技能練習の準備
3. 撮影技能練習および企画立案 (1)テーマをいかにして決めるか
4. インタビュー、ヘッドショット撮影技能練習および企画立案 (2) 決めたテーマに関する背景知識をいかにして獲得するか
5.編集技能練習および 企画立案 (3) 事前リサーチ/背景知識の構築・撮影実習に入る前に必要なことは何か考える 6. 撮影実習 (1) ロケハン・事前取材・リサーチ・素材収集の方法計画立案
7. 撮影実習 (2) 資料および映像素材収集・映像素材作成
8. 撮影実習 (3) 資料および映像素材収集・映像素材作成
9. 撮影実習 (4) 映像素材をどう料理するか考慮しての撮影、編集作業の準備
10. 編集実習 (1) 映像素材をいかにつなげるか
11. 編集実習 (2) 粗編集を行う
12. 編集実習 (3) 粗編集作品ができればグループ内で自己評価、可能であれば他クラスメートと共有、 13. 編集実習 (4)粗編集作品のグループ内での自己評価を編集に反映
14. 編集実習 (5) コンテンツを完成させる
15. 作品鑑賞会、ポートフォリオサイト作成の準備 |
【指導方法】 |
進め方の特徴と指導方法
4限目と5限目を通じてメディア・コンテンツ制作に関連した知識を身に着けていく。可能であれば、制作するための技術も磨ける場にしていく。ただし、履修者の事前知識や経験の差にもよる。基本的に、配布資料や授業内での指示を下に、受講者自身が演習を進めていく。先生はその都度、活動内容をチェックし、個別にコーチングしていく形とする。スポーツ練習や部活での練習のような感覚で授業に望むといい。既に「俺、私」は制作アプリはバンバン使用していて、撮影も誰よりもセンスがあると自信のある人は、その知識と経験を周りに先生のサポートも受けながら共有してもらうようにする。周りに教えて実際に自分がどれだけ理解しているのか、確かめて学ぶ方法である。
第一回〜二回の授業は制作実習を始める前の準備期間とし、30分〜45分の担当講師による講義および説明を受けたあとに、グループ学習をすすめる。その間に、撮影および編集の基本の「基」を全員練習してもらった上で、企画立案、資料収集、構成の方法、基本的制作技術なども学んでいく。第三回授業以降は担当教員からの個別指導を受けながら、演習準備と本格的実習をすすめる。なお本授業では、映像教材づくり、教育的な映像コンテンツをつくることを通じて、情報発信を行う上で必要なリテラシーと知識の獲得を目指す。
授業外学習として、メディア・コンテンツ作品鑑賞や、写真・動画撮影、デッサンなど自分で創作活動をするためのクリエイティブな課題を出す場合もある。課題の有無に関わらず、自ら知識や技能の獲得に取り組む積極的な姿勢を持つことが重要となる。授業外学習では、大量に映像やメディアコンテンツにふれ、大量のインプットをしてもらうことを前提とする。 |
【事前・事後学修】 |
本演習科目は、授業外課題など、授業以外での十分な学習時間を要する。大学設置基準では、本演習では最低週8時間の授業外学習時間を目安としたい。
事前学修
授業外学習に臨む。また、制作実習期間は、制作テーマについて各自で下調べや背景知識の獲得、また授業内で終了できなかった制作や編集作業を行う(2時間-4時間程度)。本演習に関連した資料、映像資料、その他様々な分野の映像作品を分析する(2時間程度)。
事後学修
本講義で学んだことを復習し、必要であれば授業で指定された参考資料や参考動画を使用してさらなる学習をすすめる。理解が十分でない点を明らかにし、次回の授業で質問できるよう準備する。基本的な撮影・編集技術を授業外でも各自鍛錬し、必要な場合は教員のアドバイスなどを得ながら自主的にスキルを磨く(2時間程度)。授業外でも制作作業が必要な場合は、教員のアドバイスを得ながら進める(1時間〜2時間程度)。 |
【成績評価の方法・基準】 |
総合評価は東洋大学の成績評価基準に準拠する。
出席・参加度・積極性・グループ活動 30 %
映像制作演習への取り組み/作品の完成度 25 %
授業外学習/課題 25%
チームワークまたは対話能力の向上 20% |
【受講要件】 |
パソコン関係、カメラ関係の基礎知識があるといいが、なくても受講はできる。独学スキルがあることが望ましい。真摯に制作作業に関して他の人と協力ができる、あるいはたとえ生理的に合わない人とでも対話することができる能力があることが望ましい。探究心があると尚可。 |
【テキスト】 |
担当教員が構築した授業用簡易webサイトを活用する。当サイトは授業の進行と並行して、受講者の提案を取り入れながら随時更新していく。 |
【参考書】 |
実践を重視した美術論/映像論:
洋書: Herbert Zettl, Sight, Sound, Motion: Applied Media Aesthetics, Cengage Series in Communication Arts, 8th ed. (Boston, MA: Cengage Learning, 2016).
映像制作全般に関して: 鈴木祐介『映像制作モダンベーシック教本』(玄光社、2022年) 小島真也『動画制作の教科書(世界一わかりやすいシリーズ)』(技術評論社、2022年) 黒岩亜純/宮徹『大学生のための動画制作入門:言いたいことを映像で表現する技術』(東京:慶應義塾大学出版会、2017年)
近藤智嗣 『映像コンテンツの制作技術〔改訂版〕 (放送大学教材) 』(東京:NHK出版、2020年)
田所貴司『映像制作スタンダードブック: CM、プロモーションビデオなど、プロの仕事から徹底解説』(東京:誠文堂新光社、2016年)
その他の参考文献/資料は授業簡易サイトで適宜紹介する。 |
【関連分野・関連科目】 |
基礎ゼミなどの基本的な文章作成能力を学習する科目、語学関連科目など |
【備考】 |
特別な支援や特別な配慮が必要な場合は必ず担当教員に相談すること。授業外学習を求める大変きつい授業である。制作は手間とエネルギーを要する。時間のかかる作業だと理解すること。授業には真摯な姿勢で参加すること。担当教員も学習しやすい環境を可能な範囲で整える。態度が極端に悪い場合、他の学習者の妨げになるので退出を求める場合がある。全ての授業への参加が前提である。楽をしたい人、単位を浮かせたい人にとっては不満の残る授業となる。点呼した場合は反応すること。対話必修の授業であり、授業内で先生や他の受講者が発言している場合は適切な反応を求める。他人に反応しない、無言、無視、舌打ちなどをした場合は出席とみなさない。また出席をすればいいわけではなく、実際に演習に参加すること。例えば、情報実習室で何もせず居眠り、課題の指示を出しているのにも関わらず何もしない、アプリを触って遊んでみるといった創作活動もしない場合は欠席とする。遊びながら学べるのにもったいない。自由時間を設けても機材のスイッチもつけることさえせず寝る、スマホをいじり続けるというのであれば、こちらは何も提供できない。授業用簡易Webサイトにて資料を配布する場合がある。確認すること。指示が理解できない、何をしているのかわからない、混乱しているという場合は必ず確認をとること。何も言わなければ対応が難しい。それを避けるために必要に応じた確認作業を求める。専門学校のように特定アプリの使用方法やモーショングラフィック作成術を手取り足取り毎授業教授する授業ではないことは理解する。その代わり大学の資源を可能な限り使用し、自学自習できる場は整える。制作全般を学び、情報を共有するとは何か、意味の見いだせる作品どうつくるか、を考えられるようにする授業である。最低でも一作品、意味の見出せるコンテンツを完成させることを目指す。人に見せて意図した内容が通じるように創るにはどうしたらいいのかを考える授業だと理解する。好き勝手に「俺のセンスと感覚で」作品を見せられてしまう受け手の気持ちを想像できるようになってほしい。なお、授業が先生本位だと批判する場合は反面教師と思って作品を受け手主体でつくってみよう。独学スキルがあることが望ましい。担当教員はアドバイスはするものの、演習科目であり、実習である。座って練習問題を解く授業ではないことは理解する。 |
【添付ファイル1】 |
【添付ファイル2】 |
【添付ファイル3】 |
【リンク】 |
http://koachshouse.mods.jp/mediastudieswithkoach/
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