【サブタイトル】 |
ヨーガとマインドフルネスを通して思想を体感する |
【講義の目的・内容】 |
本科目は、対面授業として展開します。
ヨーガは、その健康法的側面が強調され、フィットネス効果をもたらすものとして理解されています。しかし、本来は、インドの精神文化で育まれた人格的向上目指す全人格的な実践法なのです。それは、仏教成立以前の文化的・宗教的潮流に端を発した、実践、思想、哲学を伴ったインド思想の根底に流れる実践体系だからです。仏教興隆の礎ともなったヨーガは、身体的苦痛と精神的苦悩を和らげる手段を説いたものなのです。その一方で、心と身体のバランスを調え、活性化する効果が期待されています。 ヨーガには長い歴史があり、その中で培われた思想があります。ヨーガは理論に基づいた実践なので、 基本的な思想を踏まえながら実践することで、体験できるヨーガの質がかなり深めることができます。それについては、別途提示するオンデマンド動画で補足していただきます。本講では、実践する中で思想を感じ取ってもえればと思います。 ヨーガの中心となる実践は、呼吸を調える調気法(プラーナーヤーマ)です。呼吸は身体活動でありながら心と密接につながっています。精神的なストレスや不快を感じるときには、呼吸は粗く、不揃いですが、呼吸をゆっくりとなめらかに調えることによって、落ち着きを取り戻し、ストレスからも解消され、心の健全を取り戻すことができます。 腹式呼吸で呼吸をゆったりと調えることで副交感神経が活性化され、やすらぎを実感できます。また、胸式呼吸によって交感神経を活性化し、積極性やダイナミックさを導くことができるようになります。呼吸のなめらかなリズムに合わせて身体を動かす「ひと呼吸ひと動作」によって、身体の一体感や充実感、爽快感をもたらすことができるようになります。 体位法(アーサナ)による身体のアライメントの調整は、運動機能の維持にも心の健全にも極めて大切な要素です。猫背で姿勢が悪い、腰痛や肩こりを自覚しているという人は、四肢五体を活性させて生命感あふれる若者にふさわしい姿勢を創り出してください。 この授業では、そうした気づき(マインドフルネス)をうながし、身体の動きと呼吸の流れを一致させたヨーガを行うことで、心にも一体感をもたらし、全人格のまとまりをつくり出すべく、実践指導にあたる予定です。 |
【学修到達目標】 |
1:呼吸法(プラーナーヤーマ)と体位法(アーサナ)を中心とした身体技法によって、心が静まってゆくプロセスを見つめていく瞑想(マインドフルネス)を体感する。 2:身体感覚に目覚め、姿勢やしぐさなどを意識できるようになる。 3:ヨーガの思想と実践の関連性を体感し、実生活に生きる思想を習得する。 4:ダイナミックなハタ・ヨーガの技法を体験する。 |
【講義スケジュール】 |
第1回:ヨーガとは何か ヨーガの歴史と基本思想〜講義動画 腹式呼吸と胸式呼吸を使い分け、統合する。 呼吸機能の活性と沈静によって、心と身体をダイナミックに調える。 見える視野、感じる心の視野(遠望視)の関係を実感する。 呼吸の深まりと心を解放する瞑想。
第2回:身体の硬さの原因とその改善 上下半身の繋ぎ目・骨盤を意識する。 骨盤の動きを改善する。 大腿二頭筋の活性化(合蹠前屈の体位)。 骨盤の動きに目覚める瞑想。
第3回:手、腕、肩の活性化1 呼吸と動作を合わせる。 手の指先を極限まで伸ばす。 腕を垂直に極限まで上げる。 合掌した腕を極限まで引き上げる。 手と腕の余韻を感じる瞑想。冷え性の改善。
第4回:手、腕、肩の活性化2 呼吸法と「気」を調える調気法(プラーナーヤーマ)〜講義動画 手の指を極限まで開く。 呼吸をしやすい体づくり〜腕を斜めに引き上げて胸郭を開く。 姿勢の改善と呼吸の奥行き~身体感覚に目覚める。 上腕部〜胸部の活性を感じる瞑想。
第5回:下肢の活性化1 骨盤の歪みを調える。 下肢の強張りを把握する。 簡易的太陽礼拝の体位。背骨を意識する。 膝裏を伸ばす。 下肢の感覚に目覚める瞑想
第6回:下肢の活性化2 下肢の強張りを改善する。 簡易的太陽礼拝の体位。 両脚の活性化(大腿四頭筋と大腿二頭筋) 下肢の感覚を深める瞑想
第7回:背骨を反らせる 背骨をダイナミックに反らせるブジャンガの体位。 背筋力で「反る」と上体を持ち上げて「撓る(しなる)」の違い。 背骨を反らせる感覚を観察する瞑想
第8回:立位から展開する体位法(アーサナ)〜背骨をねじる 骨盤を動かして上半身と下半身をダイナミックに活性化する。 背骨をねじる感覚を感受する瞑想。
第9回:股関節の解放1 床に座って開脚する。 60度開脚前屈(大腿二頭筋の活性化)。 開脚の感覚に目覚める瞑想。
第10回:股関節の解放2 呼吸の「間」を掴む〜講義動画 横開脚から鷺(クラウンチャ)の体位、そして縦開脚(ハヌマーン)の体位へ。 開脚を深めて前屈する(開脚前屈)。 仰向けで開脚する。 呼吸の「間」を感じる瞑想。
第11回:ハタ・ヨーガの浄化法 カパーラバーティ浄化呼吸法。 スーリヤ・ベーダナ呼吸法。 立位で行う6種の体位法(アーサナ)を続けて行う。 体位法を連続して行う感覚を味合う瞑想。
第12回: 背骨をダイナミックにねじる1 床に座って背骨をねじる(マッチェーンドラ)の体位。 背骨をダイナミックにねじる感覚を味合う瞑想。
第13回:背骨をダイナミックにねじる2 床に座って背骨をねじる(マッチェーンドラ)の体位。 床に座って背骨をねじり、究極的に体側を伸ばす体位。 体側の感覚に目覚める瞑想。
第14回:横臥で行う緩やかな体位法 横臥で背骨をねじる体位。 横臥で腕と胸を開く体位。 横臥で感じる身体的心理的拡張感〜
第15回:身体から心へのアプローチ 呼吸の深まり、身体の覚醒、心の統御から「至上の境地(parama-gati)」へ~ |
【指導方法】 |
1:講師の号令に合わせて、受講者全員と一体感をもって実践します。呼吸の流れにあわせて身体を動かすので、身体の柔軟性などには影響されません。 2:服装は必ずトレーニングウエアを着用してください。原則として裸足で実践します (館内移動用の上履きは必要に応じて用意してください) 。 3:授業開始までに指定された更衣室で更衣し、体育館の指定の場所で待機してください。 4:詳細はToyoNet-ACEにて説明を行うので、毎週授業前までに確認してください。 ※必要に応じて、ヨーガの歴史、思想に関する講義を行う場合もあります。 |
【事前・事後学修】 |
事前学習 *ToyoNet-ACEに毎回授業で行う実践動画を掲載します。必ず、事前に視聴して実践してください。 *講義動画はヨーガの歴史と思想を含んでいます。自ら時間をかけて調べてみるようにしてください。それによってヨーガ体験が格段に深まります。歴史と思想が、ヨーガ体験に反映できるようにしてください。
事後学習 *授業で行った内容を中心に、動画視聴をしつつ復習してください。 *日頃から呼吸や姿勢などを意識できるようにしてください。 *それによって、四肢五体、身体をしっかりと動かせる習慣が身につき、自ずと身体感覚が養われていきます。 *15回に2~3回程度、レポートを設定します。レポートは加点が大きく、未提出だと減点が大きくなります。レポートは体験した内容、身体感覚を直感的に言語化するものです。全回提出してください。 |
【成績評価の方法・基準】 |
1.教場にて出席(点呼)をとります(態度点60%)。 2.15回に2~3回程度、レポートを設定します。このレポートが、ヨーガの体験を思考する振り返る契機となり、思想を学ぶ手段となります(理解点40%)。 3.授業回数の3分の1を超える無断欠席や提出物が足りない場合は、成績評価の対象としません。 4.欠席の際は、事前に理由と共にメール連絡をすること(yoga@toyo.jp)。 |
【受講要件】 |
*必ず健康診断を受診する事。なお、必要に応じて健康状態について、医務室に問い合わせる事があります。 *その他詳細事項については、ToyoNet-ACEと一回目の授業時に説明します。 |
【テキスト】 |
1.毎回、自習動画をToyoNet-ACEにて配信します。 2.必要に応じてToyoNet-ACEにてレジュメを配布します。 |
【参考書】 |
番場裕之(著)、2008、『5分でスッキリ簡単ヨーガで健康に! 』、NHK出版 番場裕之(著)、2008、『実践『ヨーガ・スートラ』入門』、春秋社
中国語圏留学生の場合は、下記を参照して下さい。 番場裕之(著)、楊鴻儒(譯)、2009、『禪味瑜珈』、瑞昇文化事業股份有限公司 ※上記『5分でスッキリ簡単ヨーガで健康に! 』の中国語版 番場裕之(著)、李曉雯、李敏華(譯)、2011、『瑜伽:身心安頓』、新自然主義股份有限公司 ※『心を鍛えるヨーガ』(NHK出版)の中国語版 |
【関連分野・関連科目】 |
東洋思想文化学科(白山) 春学期木曜5限 「ヨーガ」 ライフデザイン学部(赤羽) 春学期金曜2限・秋学期木曜5限 健康スポーツアクティビティⅢ「ヨーガ」 |
【備考】 |
|
【添付ファイル1】 |
2019夏期1.JPG
|
【添付ファイル2】 |
2019夏期2.JPG
|
【添付ファイル3】 |
2019夏期3.JPG
|
【リンク】 |
https://www.yukoyogayogin.com/ https://www.yoga-korei.org/ https://www.youtube.com/user/Yogiyuko
|